「空調服」株式会社空調服
HEADベストセレクション賞選評
空調服という名前が示すように服の内部に電池とモーターで動く小型ファンが取り付けられ、服の中に外気を取り入れ、内部を空調し暑い夏でも涼しく快適にすごせるよう作られている。真夏の空調が無い建設現場などに向いている。プロダクト製品は効率や格好の良さに走りがちだが、このように人に優しさをもったものは好感が持てる。野外での農作業、日射病対策などにも有効である。次のステップとして電池やモーターに頼らない中近東やアフリカなどの衣装がもつ優れた伝統そして叡智、自然の衣素材などを取り入れていけばスーパー・エコロジカルな衣服として世界中で売り出せるかもしれない。地球温暖化が進む中、このような提案は今後ますます増えていくだろう。
(古市徹雄、古市徹雄都市建築研究所)
メーカーよりコメント
人間の体には発汗による生理的な冷却システムが備わっています。激しい運動をすれば、1 時間に1000cc 以上の汗をかく事もありますが、1000cc の汗が全て蒸発した場合、気化熱によって580kcal もの熱を体から奪います。これは、重労働である木びきを1 時間行ない続けた場合の産熱量(480kcal)を充分にカバーします。発汗量は脳でコントロールされ、必要な時に必要な量を発汗する様になっています。しかしながら、生理的な冷却システム(以下「生理クーラー」)は、「汗を蒸発させる為の仕組が備わっていない」というただ1 つの問題点によって、十分な効果を発揮する事ができません。汗を蒸発できなければかいた汗は無駄な汗となって体から流れ落ち、体を冷却する事はできません。
これを解決する為のものが空調服です。空調服によって大量の外気を体と平行に流し、かいた汗を瞬時に蒸発させます。これにより生理クーラーは完全なものとなります。生理クーラーが正しく動作している状態(かいた汗が瞬時に蒸発され続けている状態)では、発汗量は少なすぎる事も多すぎる事もなく、体が必要とする量と一致します。なぜならば、必要とする量より少なければ体温が上昇し、脳が発汗を促す事によって不足分を補い、逆に多すぎて体温が低くなれば発汗量を抑えるからです。
この様に、空調服を着用すれば、着用者の着用時の状態に応じた最適な冷却を行なう事が可能です。
HEAD会員建築家コメント