「荒壁パネル」株式会社丸浩工業
HEADベストセレクション賞選評
「荒壁パネル」は、京都で90年左官業を営む会社と京都大学防災研究所、金沢工業大学と共同開発した製品である。日本建築の土壁などの壁下地となる荒壁は、防火性や調湿性など優れた面を持つ一方、長期の乾燥期間の確保や専門な左官の知識と技術が必要のため、現代の建築現場で使用される頻度が少なくなってきている。「荒壁パネル」は、土・古紙・木など自然素材を使用し、荒壁をパネル化したもので、現場ではパネルをビスで留めるだけの施工により工期短縮とコスト削減が図れる製品である。機能は、荒壁の防火性、調湿機能などはそのままに、最大の特徴は、土壁の壁倍率が最大1.5倍のところ、両面張りで壁倍率2.6倍を獲得している。また、使用後はリサイクルも可能で環境に配慮した製品である。伝統的な土壁に対して、長年培った知識と技術を応用し、土壁を現代のニーズに合致させた商品を開発したことに敬意を表したい。
現在、「荒壁パネル」は和風を損なわず耐震性を増す必要性がある神社仏閣の改修に多くの実績を持つが、今後一般和風住宅などに普及する事を期待するとともに、左官業と土壁の普及や発展に寄与してほしい。
(鈴木弘樹)
メーカーよりコメント
HEAD会員建築家コメント