妻有田中文男文庫
所在地 | 新潟県十日町市下条1丁目307 |
用途 | 地域文庫(図書館) |
改修部分床面積 | 102.5(m2) |
用途地域 | 指定なし |
主構造 | 木造 |
施工 | 丸山工務所 |
設計 | 山本想太郎設計アトリエ |
木造建築はもちろん、建築家との協働による現代建築の施工も数多く行ってきた高名な田中文男棟梁の、木造民家をはじめとした研究活動の広範さを示す蔵書の一部を収蔵する地域文庫です。木造2階建ての地域公民館の1階部分を改装してつくられました。
日常と非日常をつなぐ場として、韓国のアーチスト、カン・アイラン氏による光る本のアートを通常の書籍と混在させる空間を計画しました。図書室は大きく2室に分かれ、各室の壁面全体を書棚が覆っています。一方で既存木造建築の改修であるという空間の特性を強調するため、既存建物の要素を書棚と融合させ、適度にその雰囲気を感じさせることも意識しました。
この改修における主要な建材となっている本ざね加工されたスギ板は、2006年の空家プロジェクトにおける共通建材として設計チームが採用したもので、床仕上げ材、書棚、机天板はすべてこの材料で作られています。これらは既存建物の水平・垂直の歪みを下地調整によって正確に補正するとともに、既存躯体と一体化することによって歪みの進行も抑止しています。また床下を含む外気に触れるほとんどの部分に無垢板の被覆が施されたことによって、断熱性能も向上しています。