板橋のリノベーション
建設地 | 東京都板橋区 |
用途 | マンション住戸(賃貸) |
室面積 | 39.5(m2) |
用途地域 | 商業地域 |
主構造 | 鉄骨鉄筋コンクリート造 |
設計 | 山本想太郎設計アトリエ |
マンションの住戸改修。使われ方の想定しにくい賃貸物件であるという条件を受けて、30枚近い引戸建具によって穏やかに空間を囲う仕掛けを提案しました。
この建具は可動の間仕切りというよりも、「住みやすくするための装置」として機能するように計画されています。収納・ルームA・ルームB・キッチンなどを分節して各コーナーを作ることも、また一体の空間とすることも可能です。住みはじめや模様替えの際は、これらの建具を外して移動することによって部屋の大きな枠組みを変化させ、日常的には、人の動きに合わせて建具の位置は自然に変化していきます。
またこの建具によって、外観の無いマンション住戸に「家の顔」をつくることも意図しました。照明計画も、建具の変化に連動した美しさを意識したものとなっています。そして居住され、いろいろな生活用品が配されることによって生きた空間となるものであることを意識し、木の素材色を用いつつも全体には無彩色に近い色彩計画としています。建具の配置を含め、最終的な部屋の様相の半分は住み手に委ねられ、また生活の変化に応じて変容し続ける空間です。
写真すべて:©淺川敏